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KYOTO EXPERIMENT 2024 Echoes Now
- ジャンル
- その他/演劇/美術/複合
- カテゴリー
- その他/公演
- 開催日時
- 2024年10月17日(木)~2024年10月18日(金) ※隔日開催
- 会場
- 京都芸術センター フリースペース
- 料金・その他
- 有料
※チケット販売(事前決済)/予約あり
- 事業区分
- 主催事業
Echoes Now
「Echoes Now」は、KYOTO EXPERIMENTが期待する次代のキュレーターとアーティストをショーケース形式で紹介するパフォーマンス・プログラム。活動分野において異なる背景を持つ3名のキュレーターによるプログラムは、注目すべき実験的な表現を展開する国内のアーティストとその作品を紹介する。プログラム名は、これらのアーティストの表現やキュレーターの思考が国内外のアートシーンにコダマすることを期待して「Echoes」、そして「これから期待の」表現であると同時に、「Now」紹介されるべきであろうという、次代の熱量を代弁している。
キュレーター:川口万喜、堤拓也、和田ながら
☞ 川口万喜プログラム
黒田大スケ『学校のゆうれい』[パフォーマンス]
☞ 堤拓也プログラム
髙橋凜『CHASHITSU』[パフォーマンス]
☞ 和田ながらプログラム
福井裕孝『インテリア』[演劇]
黒田大スケ『学校のゆうれい』[パフォーマンス]
ある日、田舎道を歩いている時に1つの土器片を拾いました。どうやらそれは弥生時代の土器片のようで珍しいものを拾ったと喜んだのでした。
その日からでした。何か得体の知れない気配がするのです。その気配はつまり幽霊の様なもので、私に何かを訴えてきます。「昔の言葉はわからないから」と相手にしなかったのですが、しかしそれでも時々は土器片を握りしめて二千年程前のことを想像したのでした。
また別の時には、ある海辺の街で1つの小さな古びたコンクリートの破片を拾いました。その破片は戦争の深い悲しみを宿していて、持っているだけで涙があふれてくるのでした。私はたまらずにその破片を放り投げたのですが、それは地面に落ちた時の衝撃で2つに割れてしまいました。
この作品は、そういうストーリーを宿した「物体」についての黒田大スケなりのプラクティスのようなもので、建物、窓、扉、廊下、装飾品や記念品、彫像や絵画、あるいはそれらの破片の物語と言えます。
[川口万喜 キュレーターステートメント]
現代美術作家として活動する黒田大スケは、作品の中でしばしば劇的な演出や演じるという手法を用いる。それは、幼い頃に誰もが経験した想像し真似ることと、時間や空間を異化し混乱と惑乱の状況をつくり出すことで、観る者を一時的に原始的な混沌の社会に引き戻そうとする行為でもある。
ところで黒田は、熊が怖いと言う。それはもう、都会のカフェで山から降りてくる熊を想像するだけで身の毛がよだつほどに怖いのだと言う。ある意味で、原始的な混沌の社会に生きている黒田の制作行為をKYOTO EXPERIMENTに入れ込むことで何が生じるのか。これは、演じることの根源的な意味を問いつつ、得体の知れない恐怖や気配を察知する人間の本能を信じて、いく通りの物語を示唆できるかという試みである。
髙橋凜『CHASHITSU』[パフォーマンス]
ペインティング、テキスト、ビデオ、サウンドなど、あらゆるメディアとマテリアルを同一に扱い、現代的な問題の不確かさや、人間の曖昧さを表現してきた髙橋凜。近年では、名古屋での大規模な個展や、恵比寿映像祭2024への参加など、活動の幅を広げている。本作「CHASHITSU」は、アーティストが長年に渡って日常的な行為のようなものを記録したドローイングシリーズ「Emaki」から複数枚を選び取り、その軽快な平面イメージを空間に置き換えるのみならず、社会で不可視のものとして扱われるが確実に存在している登場人物たちの時間を構築したパフォーマンス作品である。グラフィティアーティストや、フリースタイルのラッパー、四つん這いで動き回るコイ、描かれた落書きを消すペインター、朝の支度をするソックス、場外で踊り続けるトンボなど、簡易的な舞台に偶然居合わせただけに過ぎない各存在の行為と、それらが舞台から離脱しようとする行為が交差する。一見、そこにはストーリーがあるような錯覚が生まれつつも、演劇的なナラティブとはまったく異なる性質の時間となる。
[堤拓也 キュレーターステートメント]
永遠性を宿す芸術作品を展示芸術の原理に従って配置したとしても、それは結局のところ一時的かつ来場する鑑賞者の身体性や心理状況に左右される相対的な経験でしかないのではないか。畢竟、展示という形式すらも一般的な上演とさほど変わりがない一回的かつエフェメラルな体験なのかもしれない。そのような認識と連動してか、展覧会という会期終了時まで変化しないと了解された空間に、生を持ち込むアーティストがいることも事実である。髙橋凜もそのうちの一人であり、展示空間が静的に完結することを念頭に置いていない。テキストではなく自ら描いたドローイングを起点にインスタレーションやパフォーマンスをつくりだす彼女の作品は、KYOTO EXPERIMENTのような枠組の中でどのような質感と強度を持って鑑賞され得るのか。あるいはされないのか。そのようなことを検証したく、髙橋がこれまで実施してきた数あるパフォーマンスの中から、もっとも複雑な戯曲(ドローイング)を扱っている本作を再演したい。
演出・構成: 髙橋凜
出演: Andre、中川麻央、NAZE、髙橋凜、チョン・チェリン ほか
協力: 山中suplex / Yamanaka Suplex
福井裕孝『インテリア』[演劇]
わたしたちは生きるために必要なものや生活を豊かにするものを身の回りに集め、それらを按配よく配置することで、プライベートな環境を形成している。椅子、机、ベッド、冷蔵庫、洗濯機、皿、テレビ、服、ティッシュ、ぬいぐるみ、人から借りた本、無印の爪切り、醤油、趣味じゃないラグマット、植物…など。そこでは住み手である人とものが互いに存在を規定し合いながら親密な関係を保ち続けている。この私的な聖域を舞台に日々繰り返し上演されている「生活」という出来事を、演劇の形式を借りてわざわざ立ち上げてみます。その手がかりとして、会場に集まる観客および演者が所有している「もの」を舞台上に集め、ある「家」の状況を仮構することからはじめたいと思います。当日はご自宅からそれぞれ「もの」を一つお持ちの上ご来場ください。ものと来て、ものと観て、ものと帰る演劇。
[和田ながら キュレーターステートメント]
福井裕孝は、物理的な「もの」と演劇が上演される空間との関係に強い関心を寄せてきた。人間が要請するはたらきから解放し、ただその「もの」が占拠している空間を明瞭な事実として量ろうとする態度は、きわめてドライでストイックなようで、奇妙なおかしみをはらんでいる。福井の作品に立ち会うとき、わたしもまた、無数の「もの」(たとえば着ているTシャツ、かばんの中の折りたたみ傘、くしゃくしゃのレシート)を伴いながら、今はただごろりとこの椅子の上に身体を置いているのだということを意識させられる。わたしたちは、「もの」としてのこのいかんともしがたい行き止まりを広場として、演劇という制度を軽やかに遊びなおせないだろうか。
演出: 福井裕孝
出演: 金子仁司 ほか
基本情報
日時 |
2024年10月17日(木) 2024年10月18日(金) 2024年10月17日(木) 15:00★2024年10月18日(金) 18:00 ★ポスト・パフォーマンス・トーク (登壇: 川口万喜、堤拓也、和田ながら、KYOTO EXPERIMENT共同ディレクター) 上演時間: 約180分 (3演目上演 / 途中転換休憩あり) 言語: 日本語 (英語字幕あり) |
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料金 |
有料 前売: 一般 3,000円 ユース(25歳以下)・学生 2,500円 高校生以下 1,000円 *当日券は前売と同額 *自由席 |
申込方法 | ☞ 申し込みフォーム https://echoes-now-2024.peatix.com/ |
会場 | 京都芸術センター フリースペース |
プロフィール
黒田大スケ
1982年京都生まれ。2013年広島市立大学大学院博士後期課程修了。彫刻家、橋本平八の研究で博士号取得。長く広島で活動していたが、2020年から京都を拠点に活動している。リサーチを通じて、社会のなかに佇み、忘れられ、無視された幽霊のような存在を見出し、映像やインスタレーションを制作している。近年は、これまで制作の拠り所としてきた「彫刻」について研究を進め、近代以降の彫刻家とその制作行為や、彫刻家と戦争の関係をモチーフとしたパフォーマンス性の高いシリーズを展開している。作品制作以外に、展覧会の企画も手掛けている。
髙橋凜
1996年東京生まれ、名古屋育ち。既存のイメージやオブジェクト、個人の小さな出来事を起点にした作品を手掛け、ドローイング、彫刻、映像、インスタレーション、パフォーマンスまで多彩なメディアで制作を行う。2022年にBeaux-Arts de Parisでの交換留学を経て、2023年東京藝術大学大学院美術研究科グローバルアートプラクティスコースを修了。主な展示に「motivated bodies」駒込倉庫 (2024)、「恵比寿映像祭2024 月へいく30の方法」東京都写真美術館 (2024)、「Blind dog」アートラボあいち (2023)、「Adventure Something」École nationale supérieure de paysage (2022)など
福井裕孝
1996年京都府生まれ。演出家。人、もの、空間の関係を演劇の形式や制度を用いて再編し、異なるスケールやパースペクティブからその場の状況を再提示するような作品を発表する。主な上演作に『インテリア』(2018-2023)、『デスクトップ・シアター』(2021-2023)など。2022年より京都の劇場THEATRE E9 KYOTOにあるすべての“もの”を一つひとつ撮影・記録するプロジェクト『シアターマテリアル』(2022-2024)を始動し、2024年にアーカイブカタログの発行と劇場での展示即売会を実施。THEATRE E9 KYOTO第3期アソシエイトアーティスト。
川口万喜
成安造形大学芸術計画クラスを自主退学後、4年間農業に従事。2009年より大阪・中之島にあるコミュニティスペース「アートエリアB1」の事務局スタッフとして、国内アーティストの展覧会、音楽ライブ、パフォーマンス公演などに携わる。2013年、同施設の事務局を法人化し、理事兼事務局長を2023年まで務める。同年2月より京都市京セラ美術館 事業企画推進室に広報担当として勤務。個人での活動として、多分野にわたるアーティストとの協働、展覧会の企画運営等を行う。
堤拓也
インディペンデント・キュレーター、グラフィックデザイナー。2019年アダム・ミツキエヴィチ大学大学院カルチュラル・スタディーズ専攻修了。展覧会という限定された空間の立ち上げや印刷物の発行を目的としつつも、アーティストとの関わり方に制約を設けず、自身の役割の変容も含めた有機的な実践を行う。これまでの主なキュレーションに、鬼丘鬼鏟 (ゴースト・マウンテン・ゴースト・ショベル):時間的臨摹 (京都、2023)、山下拓也個展「闇が抱える光:熊、ムンク、チーズバーガー、他」(台北、2023)、飯川雄大展「デコレータークラブ:未来のための定規と縄」」(鹿児島、2023)、国際芸術際「あいち2022」(愛知県、2022)、「血の塩、余の光」(東京・京都、2021) などがある。2018年より、滋賀県大津市にある共同スタジオ・山中suplexプログラムディレクター。
和田ながら
京都造形芸術大学芸術学部映像・舞台芸術学科卒業、同大学大学院芸術研究科修士課程修了。2011年2月に自身のユニット「したため」を立ち上げ、京都を拠点に演出家として活動を始める。演技という行為に強い関心を持ち、テキストやモチーフを接写するように読み解いていくことで、作品ごとに固有の演技の文法の構築をめざしている。美術、写真、建築、音楽、彫刻、ダンスなど、異なる領域のアーティストとも演劇を媒介に対話し、協働作業による作品制作に積極的に取り組む。2018年より多角的アートスペース・UrBANGUILDブッキングスタッフとして俳優にフォーカスしたパフォーマンスシリーズ「3CASTS」を企画。2019年より地図にまつわるリサーチプロジェクト「わたしたちのフリーハンドなアトラス」に取り組んでいる。NPO法人京都舞台芸術協会理事長。
クレジット
主催:
京都国際舞台芸術祭実行委員会
[京都市
ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)
京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)
京都芸術大学 舞台芸術研究センター
THEATRE E9 KYOTO(一般社団法人アーツシード京都)]
一般社団法人KYOTO EXPERIMENT
助成:文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業)| 独立行政法人日本芸術文化振興会
アクセシビリティ
ご来場や鑑賞に際してサポートが必要な場合は、可能な限り対応しますので、お問合せ先までご連絡ください。
問合せ先
京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)
Tel:075-213-1000(10:00-20:00)
Mail:info@kac.or.jp