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KAC Performing Arts Program 2018 / Contemporary Theater “Re-search & Re-direction: The way of Participant’s Arts”_Symposium”ACTION OF PARTICIPATION, PARTICIPATION OF ACTIONS”

Genre
Others/演劇
Category
トーク
Date and time
Sun, Jul 1, 2018
place
Kyoto Art Center Auditorium
Fees & Others
無料
Business Segments
主催事業
KAC Performing Arts Program 2018 / Contemporary Theater “Re-search & Re-direction: The way of Participant’s Arts”_Symposium”ACTION OF PARTICIPATION, PARTICIPATION OF ACTIONS”
KAC Performing Arts Program 2018 / Contemporary Theater “Re-search & Re-direction: The way of Participant’s Arts”_Symposium”ACTION OF PARTICIPATION, PARTICIPATION OF ACTIONS”
フライヤーデザイン:堤拓也
KAC Performing Arts Program 2018 / Contemporary Theater “Re-search & Re-direction: The way of Participant’s Arts”_Symposium”ACTION OF PARTICIPATION, PARTICIPATION OF ACTIONS”
フライヤーデザイン:堤拓也

ある場や環境へのリサーチを経て、演劇は「かかわりの技法」をどのように育て上げることができるのか。シンポジウムと関連上演を通して、具体的な事例をもとに、その技法とクリエイションのプロセスについて議論します。

あるコミュニティや状況へのリサーチやフィールドワークを基にしたクリエイションでは、対象に関与していく過程が、多かれ少なかれ対象に変化を与えてしまう場合があります。そしてリサーチャー自身も、対象から影響を受けて変化を余儀なくされる場合がしばしば発生します。
こうしたプロセスを考慮するならば、結果としての「上演」の技法を作家に選択せしめる一因として、リサーチを経るなかでの、作家と対象や環境との心的距離の変化は無視できないものです。また、リサーチ対象や周囲の環境が「上演」をどのように受け止め、変化したのか(あるいはしなかったのか)のフィードバックを受け取ることで、さらに作家の技法は変化していくでしょう。

このプログラムでは、演劇ユニットBRDGと協働し、ある状況への関与のために持ち出された演劇の、手法と状況の変容に着目し、事例の研究と創作についての議論を進めていきます。
今回はこのプロセスに先駆け、既に実践されているリサーチと創作に関する事例を基にしたシンポジウムと、関連作品の上演を行います。

ひとつめの上演は、リサーチ対象として「日本国憲法」を取りあげ、その身体化の困難さを通じて、わたしたちの運用する言葉や身体の孕む政治性を指摘する、かもめマシーンの『俺が代』。もうひとつは震災についてのプライベートな記憶や語りを、演劇を通じてパブリックな問題とすることで、これを個別の語りを誘発する共同体の醸成装置として取り扱う、250km圏内の『地震の話』『暴想』。これらの作品は、リサーチや聞き取りを基盤に、観客をある画一的な属性として捉えたマス・コミュニケーションと、パーソナルな人間の声、双方を上演のための技術として運用しています。

シンポジウムでは、これらの上演と、ある場やコミュニティでの制作や隣接するジャンルの例を取りあげ、作家と関係者が相互に影響を受け、変容していく上演について、個別的な事例紹介に留まらず議論していきます。

今回取り扱うような創作においては、時に作家と関係者、そして観客の再定義が必要とされるでしょう。そして、演劇活動を通して関係性の再構築を行うことで、アウトプットを変質させていくことになります。このプロセスへの注視からは、これまでの演劇にみられた演出家と俳優の相互作用、そして観客や劇場を含めた演出の構築との類似と差異を見出すこともできるでしょう。本プログラムでは、これを新たな演劇の技法の展開として捉え、こうした共有可能な「かかわりの技法」を探求していきます。

「無関係な第三者」をもはや前提としない演劇は、単にそこに生きて在る以上の人と人がかかわるわざを、どのように育て上げることができるでしょうか。
関連上演とあわせて、ぜひご参加ください。

日時
2018年7月1日(日)
16:00~20:00
会場
京都芸術センター 講堂
登壇テーマ
「翻訳できないコトバのしらべ」山口惠子、川那辺香乃(BRDG)
BRDGは、インタビューを基盤にした「通訳劇」という手法を用いて、海外にルーツを持つ京都在住者のささやかな声を演劇化してきた。しかしこの手法は、子どもや、共通の言語を持たない人など、特定の属性を持つ人々に対しては、インタビューそのものが機能しないという困難を抱えている。言語にならないコトバを聴き取るために、どのように方法を変化させることができるのか。今後展開するリサーチと創作の展望を紹介する。

「憲法を上演する方法」萩原雄太(かもめマシーン)
憲法をテキストに上演すると決めた時、我ながら何も知らないことにひどく驚いたという萩原。さまざまな文献を調べ、国立公文書館や、各所でのフィールドワークを行う等、憲法に「触れる」ために、かもめマシーンが行ったリサーチの一端を紹介する。

「上演をふまえて話すこと、話しをふまえて上演すること」小嶋一郎(250km圏内)
演劇の根本はなんだろうと考えると「人とかかわる」ことではないだろうか。愛媛に場所を定め、「人とかかわる活動」を2014年から開始し、2017年に移り住んだ演出家・小嶋一郎の活動報告。

「地域とかかわる上演の終わりかた」石神夏希(ぺピン結構設計)
たとえば作家がある街を訪れ、その声を聞きとり、街を歩き体験する作品を創作する。出演者もその街の住人が担う。街とかかわることで、作家の技法は更新され、街には賑わいや新たなアイディアが生まれる。しかし、どんなに成功した作品も、いつか上演は終わる。それから街はどうなっていくのだろう。そのとき作家は、どんなふうに街を去ることができるだろう。仏生山(高松市)、本牧(横浜市)、舞鶴(京都府舞鶴市)など、場の言葉や物語を引き出し、創作発表してきた石神が、プロジェクトの完了の仕方と、その課題を探る。

「往復するプライベートーパブリック ~映像メディアを介したプロジェクトより」久保田テツ(NPO remo[記録と表現とメディアのための組織])
remoでは「AHA! project」という古いフィルムを皆で鑑賞するプロジェクトを実施している。そこでは、無名の家族の映像などの小さなコミュニティの記録が、再生されることで突如として公共性を帯びて立ち上がることに気付かされる。同時にそのフィルムは、(フィルムとは無関係のはずだった)その場の「誰か」にとっても語られるべき風景のように感じられ、また別のプライベートな語りを誘発する。演劇や身体によっても、そのような風景は可能なのだろうか。それともこれは映像特有のメディアのふるまいなのだろうか。remoの実践するいくつかのプロジェクトを紹介しながら、来場者とともに考察する。

関連上演
かもめマシーン『俺が代』
2018年6月30日(土)19:00開演
会場:京都芸術センター フリースペース

250km圏内『地震の話』『暴想』
2018年7月1日(日)14:00開演
会場:京都芸術センター フリースペース

関連上演の詳細はこちらをご覧ください
関連上演イベントページ

山口惠子

大阪府出身・京都在住。俳優・演出。高校卒業後、イギリス・ロンドンでパフォーマンス/演劇を三年間学ぶ。帰国後 俳優として京都を拠点に活動、主な作品にマレビトの会「ヒロシマ−ハプチョン」松本雄吉演出「イキシマ」「石のような水」「十九歳のジェイコブ」「レミング」などがある。2011 年、川那辺香乃と共に BRDG を立ち上げ、実存する橋をリサーチし俳優と創作した演劇作品「ハシ×ワタシ」を演出。2013 年より、京都に住む海外からの移住者にインタビューをして創作する通訳劇「117 –one one seven」、「ヒキダシ_ホテル」を発表。国内外の国際共同制作に数多く関わりながら、移動する現代の人々が共有する人間模様に興味を持っている。

川那辺香乃

滋賀県出身・京都在住。アートコーディネーター。 2013 年より京丹波町にある旧質美小学校で「423 アートプロジェクト」 を開始し、ワークショップや映画製作、舞台作品の創作など企画・実施している。また、子どもや障害者を対象 としたアートワークショップのコーディネート、世界の先住民族の暮らしや知恵について学ぶ研究者とのワークショップのファシリテーションなどを行う。舞台作品で対話型鑑賞を行う実験的な試み「Listen, and…」発起人。 NPO 法人子どもとアーティストの出会い プログラムディレクター。一般社団法人リリース パートナー。大阪音楽大学非常勤講師。

萩原雄太

1983年生まれ、茨城県出身。演出家・劇作家・フリーライター。早稲田大学在学中より演劇活動を開始。愛知県文化振興事業団が主催する『第13回AAF戯曲賞』、「利賀演劇人コンクール2016」優秀演出家賞、浅草キッド『本業』読書感想文コンクール優秀賞。かもめマシーンの作品のほか、手塚夏子『私的解剖実験6 虚像からの旅立ち』にはダンサーとして出演。STスポット横浜主催の「民俗芸能調査クラブ」や、演出家の集い「シンココ」などにも参加するほか、中高生向けの演劇ワークショップなども行う。

小嶋一郎

1980年~新潟、2000年~大阪、2009年~東京、2017年~愛媛在住。現在、今治市にて週2で演劇を、週5で障害者福祉を行う。
「私がしたいのは対話です。誰が何を言ってもいい場所が劇場だと考えています。感想、観ながら考えたことを聞かせて下さい。上演で作り手が発信した後は、観客も発信して帰って欲しい。」

石神夏希

劇作家。1999年よりペピン結構設計を中心に活動。近年は横浜を拠点に国内各地や海外に滞在し、都市やコミュニティを素材にサイトスペシフィックな演劇やアートプロジェクトを手がける。『Sensuous City [官能都市]』(HOME’S総研)等調査研究、NPO法人『場所と物語』理事長、遊休不動産を活用したクリエイティブ拠点『The CAVE』の立ち上げなど都市に関するさまざまなプロジェクトに携わる。

久保田テツ

2005年より大阪大学コミュニケーションデザイン・センター(CSCD)特任講師、特任准教授を経て、2016年より大阪音楽大学准教授。メディアデザイン、コミュニケーション、ドキュメンテーションやアーカイブ実践など、アートを軸とした社会とのつながりについて考える。NPO remo[特定非営利活動法人記録と表現とメディアのための組織]理事。大阪大学COデザインセンター非常勤講師、早稲田大学グローバルネットワークセンター非常勤講師。アートエリアB1運営委員。

主催

京都芸術センター

問合せ先

TEL : 075-213-1000
E-mail : info@kac.or.jp

料金

入場無料・要事前予約

WEB予約

関連上演は別途、下記のイベントページからお申し込みください。

チケット/申し込み

ウェブサイト・TELにて受付

助成

平成30年度文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)・独立行政法人日本芸術文化振興会
国際交流基金アジアセンター アジア・市民交流助成(BRDGのリサーチについて)